ほうき星ってなあに? 家族で楽しむ彗星の見つけ方
ほうき星(彗星)を家族で見つけてみましょう
夜空を見上げると、たくさんの星が瞬いていますね。流れ星がスーッと光って消える様子を見たことがある方もいるかもしれません。流れ星とは少し違うけれど、時々空に「ほうき星」と呼ばれる天体が見えることがあります。
この「ほうき星」は彗星のことです。長い尾を引く姿がほうきのように見えることから、そう呼ばれるようになりました。彗星は、特別な存在のように感じるかもしれませんが、実は家族でその姿を見つけることもできる、とても興味深い天体です。
このページでは、ほうき星(彗星)とはどんな天体なのか、なぜ尾が見えるのか、そして家族で彗星を見つけるにはどうしたら良いのか、分かりやすくお話しします。子供と一緒に夜空を見上げるのがもっと楽しくなるでしょう。
ほうき星(彗星)って、一体なあに?
彗星は、簡単に言うと「氷やチリがたくさん集まってできた、大きな雪だるま」のような天体です。太陽系のずっと遠い場所からやってきて、太陽の周りをぐるぐると回っています。
大きさは様々ですが、中には数キロメートルから数十キロメートルもあるものもあります。普段は宇宙の冷たい場所にいるので、あまり目立ちません。
では、なぜ地球から見える時には、長い尾を引いた姿になるのでしょうか。
なぜほうきのような「尾」ができるの?
彗星が太陽に近づくと、表面の氷やチリが温められて、ガスや小さなつぶ(チリ)となって宇宙空間に吹き出されます。
太陽の光や風(太陽風)がこのガスやチリを吹き飛ばすため、彗星の本体の後ろに長く伸びた「尾」ができるのです。この尾はとても長いもので、数千万キロメートルにもなることがあります。
尾は主に二種類あります。一つはガスでできた青っぽい尾、もう一つはチリでできた白っぽい尾です。ガスやチリが太陽の光を反射したり、自ら光を出したりすることで、地球からその姿が見えるようになります。
彗星が太陽から遠ざかると、再び冷えて活動が弱まるため、尾は見えなくなります。つまり、尾が見えるのは彗星が太陽の近くを通る時だけなのです。
流れ星とほうき星(彗星)は違うの?
流れ星も彗星も、空を光が走るように見えることがありますが、実は全く違うものです。
- 流れ星: 宇宙にある小さなチリや岩のかけらが、地球の大気に飛び込んできて、大気との摩擦で燃えつきる時に一瞬光る現象です。ほとんどは砂つぶくらいの大きさです。
- ほうき星(彗星): 氷とチリでできた大きな天体そのものです。地球の大気圏に入るわけではなく、太陽の周りを公転しています。長い尾が見えるのが特徴です。
このように、現象の仕組みや天体の正体が異なります。流れ星は短い一瞬の光ですが、彗星は数日から数週間にわたって空に同じ姿を見せ続けることがあります。
家族で彗星を見つけるには?
残念ながら、常に空に明るい彗星が見えているわけではありません。明るく見えやすい彗星が現れるのは、数年に一度や、もっと長い間隔のことがあります。しかし、双眼鏡などを使えば、予報されている暗めの彗星を見つけられる場合もあります。
彗星を見つけるためには、いくつかのポイントがあります。
1. 彗星の予報をチェックする
彗星が見えそうかどうかは、事前に専門家によって予報されます。インターネットの天体情報サイトや、天文に関するニュースをこまめにチェックしてみましょう。「〇〇彗星がいつ頃、どの空に見える」といった情報が出ていないか探してみてください。
2. 見る準備をする
- 場所選び: できるだけ街明かりの少ない、空が暗い場所が適しています。公園や広場などが良いでしょう。安全に配慮して、家族で一緒に出かけられる場所を選びましょう。
- 時間を待つ: 予報された時間や方角の空を見上げます。目が暗闇に慣れるまで、15分ほどはじっと待ってみましょう。
- 道具を使う: 明るい彗星なら肉眼でも見えることがありますが、多くの彗星は双眼鏡を使うと見つけやすくなります。普段使っている双眼鏡でも構いません。望遠鏡があれば、尾の様子なども詳しく観察できます。
3. 流れ星と間違えないように
彗星は、流れ星のように一瞬で消えることはありません。ゆっくりと動いて見えることもありますが、基本的には同じ場所にとどまっているように見えます。尾の形があるかどうかも確認のポイントです。
家族で楽しむ彗星観察のヒント
彗星観察を、単に見るだけでなく、家族で楽しめる学びの時間にしてみましょう。
- 図鑑や絵本で予習: 彗星が出てくる図鑑や絵本を、観察に行く前に一緒に読んでみましょう。彗星について知ることで、実際の姿を見たときの感動も大きくなります。
- 彗星の名前を調べてみる: 彗星には発見者の名前などがつくことが多いです。その彗星の名前の由来を調べてみるのも面白いですね。
- 尾の形を観察する: 彗星の尾は一本に見えることもありますが、二本に見えたり、形が変わったりすることもあります。双眼鏡で尾の形や長さを観察して、変化を話し合ってみましょう。
- 絵を描いてみる: 見た彗星の姿を絵に描いてみるのも良いでしょう。尾の長さや方向、周りの星の様子などを記録するのも、観察ノート作りの良い練習になります。
- 次にいつ見えるか調べてみる: 彗星の中には、決まった周期で太陽の周りを回っているものがあります(周期彗星)。次に同じ彗星が見えるのが何年後なのか調べて、宇宙の大きさを感じてみるのも素晴らしい学びです。
安全に彗星観察を楽しむために
夜の観測は、明るい場所での活動とは異なります。安全に楽しむために、以下の点に注意しましょう。
- 大人の同伴: 子供だけで夜に外出することは避け、必ず保護者の方が一緒に付き添ってください。
- 場所の安全確認: 足元が安全か、危険な場所がないかなど、明るいうちに下見をしておくことをお勧めします。
- 服装: 夜は冷え込むことがありますので、重ね着をするなど暖かい服装を心がけましょう。夏でも長袖を着ると虫刺され対策になります。
- 懐中電灯: 足元を照らすために必要ですが、観測中は明るい光を直接空に向けたり、他の人の目に向けたりしないように気をつけましょう。赤いセロハンを貼ると、目が暗さに慣れた状態を保ちやすくなります。
まとめ
ほうき星、つまり彗星は、宇宙の遠い場所からやってくる氷の天体で、太陽に近づくと美しい尾を見せてくれます。流れ星とは違う、ゆったりとしたその姿は、夜空に特別な存在感を放ちます。
明るい彗星が見える機会は限られますが、予報をチェックして準備をすれば、家族でその神秘的な姿を観察できるかもしれません。彗星について学び、実際にその姿を探してみる経験は、子供たちの宇宙への興味をさらに深める素晴らしいきっかけとなるでしょう。
ぜひ、次に彗星が現れるときには、家族で夜空を見上げて、ほうき星探しを楽しんでみてください。