家族で楽しむ 夏の夜空 肉眼で見える星と星座
夜空を見上げるのは、心が安らぐ素敵な時間です。特に夏の夜は過ごしやすく、お子様と一緒に星空を眺めるにはぴったりです。
「天体観測」と聞くと、望遠鏡が必要なのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は夏の夜空には、特別な機材を使わなくても肉眼で十分楽しめる美しい星や星座がたくさんあります。
この記事では、夏の夜空を家族で気軽に楽しむために、肉眼で見つけやすい代表的な星や星座、そして観測のちょっとしたコツをご紹介します。
夏の夜空で見つけやすい星や星座
夏の夜空は、明るい星がたくさん見つけられます。まずは、夜空でひときわ輝く星を探してみましょう。
きらめく一等星を見つけよう
星の明るさは等級で表され、数字が小さいほど明るく見えます。一等星は、地球から見て非常に明るい星のことです。夏の夜空には、特に明るい一等星がいくつか輝いています。
その中でも代表的なのが、「ベガ」「アルタイル」「デネブ」という3つの星です。これらの星はとても明るいので、街明かりの影響が比較的少ない場所でも見つけやすいでしょう。
夏の夜空の目印「夏の三角形」
先ほどご紹介した3つの一等星、「ベガ」「アルタイル」「デネブ」は、夏の夜空に大きな三角形を描いています。これを「夏の三角形」と呼びます。
- ベガ: こと座の最も明るい星です。青白く美しく輝きます。
- アルタイル: わし座の最も明るい星です。ベガよりも少し黄色っぽい光に見えることがあります。
- デネブ: はくちょう座の最も明るい星です。ベガ、アルタイルに比べて少し控えめな明るさですが、十分に明るい星です。
この夏の三角形は、夏の星座を探す時の良い目印になります。空を見上げて、まずこの大きな三角形を見つけることから始めてみましょう。
有名な夏の星座たち
夏の三角形を形作る3つの星の周りには、それぞれ有名な星座があります。
- こと座: ベガを含む小さな星座です。竪琴(たてごと)のような形をしています。
- わし座: アルタイルを含む星座です。わしが羽を広げて飛んでいる姿に見立てられています。
- はくちょう座: デネブを含む星座です。白鳥が優雅に飛んでいる姿に見えます。デネブは白鳥の尾のあたりに位置します。
これらの星座の形を、点と点を線で結ぶように想像してみましょう。最初は分かりにくいかもしれませんが、星図アプリなどを参考にしながら、少しずつ形をたどる練習をすると見つけやすくなります。
天の川を見てみよう
夏の夜空のもう一つの見どころは「天の川」です。これは、私たちの銀河系を真横から見た時に、星がたくさん集まって川のように見えるものです。
条件の良い暗い場所で見ると、空を横切る淡い光の帯として見えます。都会の明るい場所ではなかなか見えませんが、少し郊外に出かけたり、月が出ていない暗い夜を選んだりすると見えやすくなります。夏の三角形の近くを、天の川が流れています。
肉眼で観測するための準備とポイント
肉眼での天体観測は手軽ですが、少し準備をしておくとより快適に楽しめます。
観測場所の選び方
- 街明かりが少ない場所: 星を見るには、できるだけ暗い場所が適しています。公園や学校の校庭など、周りに高い建物や街灯が少ない場所を選びましょう。
- 安全な場所: 足元が安全で、車通りなどにも十分注意できる場所を選んでください。特に小さなお子様と一緒の場合は、安全を第一に考えましょう。自宅の庭やベランダからでも、見える範囲の星を楽しむことは十分に可能です。
観測時間帯
夏は日が長いですが、夜遅くなるにつれて空は暗くなります。お子様と一緒に見る場合は、夕食後少ししてからなど、無理のない時間帯を選びましょう。夜が深まるにつれて、見やすい星や星座の位置が変わってきます。
目を暗さに慣らす(暗順応)
星を見る時は、目を暗さに慣らすことが大切です。明るい場所から急に暗い場所へ移動しても、すぐには星がたくさん見えません。暗い場所に数分いると、目が暗さに慣れてくる(暗順応)ことで、より多くの星が見えるようになります。
その他の準備
- レジャーシートや椅子: 地面に座ったり寝転がったりして見ると、首が疲れにくく楽です。
- 虫よけ対策: 夏は蚊などの虫が出やすいので、虫よけスプレーやパッチを用意しておくと安心です。
- 飲み物: 熱中症対策として、水分補給ができるものを用意しましょう。
- 懐中電灯(足元用): 移動や準備のために必要ですが、星を見ている時は明かりを消すか、赤いセロハンなどを貼って光を弱くすると、暗順応の妨げになりにくいです。
子供と一緒に楽しむアイデア
- 星や星座の物語を読む: 夏の星座には、ギリシャ神話などに基づいた様々な物語があります。事前に本などで読んでおくと、より興味を持ってくれるでしょう。
- 星の明るさ比べ: 夜空を見上げて、「一番明るい星はどれかな?」「あの星とこの星はどっちが明るいかな?」などと声かけをしながら見てみましょう。
- 星座の絵を描いてみる: 見つけた星座の形を、画用紙に点と点で描いてみるのも楽しいでしょう。
- 星図アプリを使ってみる: スマートフォンやタブレットの星図アプリを使うと、空にかざすだけで星の名前や星座の形が分かります。ただし、画面の光が明るいと暗順応がリセットされてしまうので、アプリを見る時は画面の明るさを暗く設定したり、見る時間を短くしたり工夫が必要です。既存の記事「家族で楽しむ!初心者向け天体観測アプリ活用法」も参考にしてみてください。
- 簡単な観察ノートをつける: 見た星や星座、その日の天気や月齢などを簡単に記録してみましょう。絵をかいたり、気づいたことをメモしたり、自由な形で構いません。既存の記事「家族でつくる 星空観察ノートのすすめ」も参考になります。
まとめ
夏の夜空は、特別な機材がなくても、肉眼で十分に美しい星や星座、そして条件が良ければ天の川まで楽しむことができます。
夏の三角形を目標に、ベガ、アルタイル、デネブといった明るい星を見つけることから始めてみてください。それぞれの星が含まれること座、わし座、はくちょう座も、形をイメージしながら探してみましょう。
安全な場所を選び、虫よけなどの準備をして、夏の夜空を見上げてみてください。お子様と一緒に星の名前を覚えたり、星座の物語に耳を傾けたりする時間は、きっと素敵な夏の思い出になるでしょう。
まずは気軽に、夏の夜空を楽しんでみてはいかがでしょうか。