家族で一年中楽しめる!見つけやすい定番の星と星座
はじめに
天体観測と聞くと、「季節ごとに見える星が変わるから、いつ見たらいいか分からない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。確かに、多くの星座は季節によって見え方が変わります。しかし、一年中、ほとんど同じ場所に見え続ける「定番の星」や「定番の星座」があることをご存知でしょうか。
これらの星や星座は、いつでも空を見上げれば見つけることができ、天体観測の入り口として最適です。特に、方角を知る手がかりになったり、他の星座を見つけるための目印になったりするため、初心者の方にはまず知っていただきたい存在です。
この記事では、家族で一年中楽しめる、見つけやすい定番の星と星座をいくつかご紹介します。見つけ方のヒントや、子供と一緒に楽しむアイデアもお伝えしますので、ぜひ参考にして、身近な星空から天体観測を始めてみてください。
なぜ星空は季節で変わるのに、一年中見える星があるの?
地球は太陽の周りを公転しています。この公転によって、地球から夜に見える方向が季節ごとに変わるため、見える星座も移り変わるのです。
しかし、地球の自転軸は、ある一点を向き続けています。その向き続けている方向の近くにある星は、地球が公転しても、私たちから見ると空の同じような場所に見え続けるのです。これが「一年中見える星」が存在する理由です。
特に、天の北極の近くにある星や星座は、北の空の比較的低い位置を中心に、時間帯や季節による高度の変化はありますが、一日や一年を通して見えなくなることがありません。これらの星は、北の空を回るように動いて見えるため、「周極星(しゅうきょくせい)」と呼ばれます。
家族で見つけやすい!一年中の定番の星と星座
一年中、空の同じような場所に見える星や星座の中から、特によく知られていて見つけやすいものをご紹介します。
1. 北極星(こぐま座)
- どんな星? 北極星は、こぐま座の尻尾の先にある星です。地球の自転軸が向いている方向とほぼ一致しているため、空の中心に留まっているように見えます。このため、他の星が時間とともに東から昇って西へ沈んでいく中で、北極星だけはほとんど動かないように見えます。
- 見つけ方 名前の通り、真北の方角にあります。高い建物などに遮られていなければ、夜空の北の低い位置に見える明るめの星を探してみてください。他の星と違って動きが少ないのが特徴です。後述するカシオペヤ座やおおぐま座(北斗七星)を見つけると、それらをたどって北極星を見つけることができます。
- 子供と楽しむヒント 「この星だけは、ずっと同じ場所にあるフシギな星だよ」と教えてあげると興味を持つかもしれません。「動かない星」として、方角を知る目印になることも伝えてみましょう。「あの星がある方向が北だよ」と言うだけで、子供も分かりやすいでしょう。
2. カシオペヤ座
- どんな星座? カシオペヤ座は、明るい5つの星が「W」や「M」のような形に並んでいる星座です。北の空にあり、一年中見つけることができます。
- 見つけ方 北の空の高い位置から低い位置まで、季節によって見えやすい高度は変わりますが、特徴的なW(またはM)の形なので比較的見つけやすいです。北極星の近くにあります。カシオペヤ座のWの真ん中の星から、左側の2つの星を結んで延ばしていくと、北極星を見つける目印になります。
- 子供と楽しむヒント 「アルファベットのWかMみたいに見えるね!」と、形探しをしてみましょう。カシオペヤ座にはギリシャ神話の王妃カシオペヤの物語があります。絵本やインターネットで簡単な物語を調べて、子供に話して聞かせるのも良いでしょう。
3. おおぐま座(北斗七星)
- どんな星座? おおぐま座は大きな星座ですが、特に明るい7つの星が並んだ「北斗七星(ほくとしちせい)」が有名で、見つけやすい目印になります。柄杓(ひしゃく)のような形をしています。
- 見つけ方 北斗七星も北の空に見え、一年中観察できます。季節によって見えやすい時間帯や空の高さが変わりますが、特徴的な形です。北斗七星の柄杓の先の2つの星を結んで、その距離の約5倍先に北極星が見つかります。北極星探しの強力な目印です。
- 子供と楽しむヒント 「空におっきなスプーン(または柄杓)が見えるかな?」と声をかけて、一緒に形を探してみましょう。北斗七星は国や文化によって様々な呼び名や伝説があります。日本の七福神を乗せた船や、中国の死生を司る神様など、興味深い話を聞かせてあげるのも楽しいかもしれません。
定番の星・星座を見つけるためのヒント
- 見る方向: 北の空を中心に探します。スマートフォンのコンパスアプリなどで方角を確認すると便利です。
- 見る時間帯: 一年中見えますが、一日の中での高度は変わります。例えば北斗七星は春から夏にかけては高い位置に、秋から冬にかけては低い位置に見えやすくなります。アプリなどでその日の星空を確認すると、より見つけやすくなるでしょう。
- 明るい場所を避ける: 街灯の光が多い場所では星が見えにくいです。できるだけ周囲が暗い場所で観察しましょう。自宅の庭やベランダでも、照明を消すと意外とたくさんの星が見えます。
- 星空アプリを活用する: スマートフォンの星空アプリは、画面を空にかざすとその方向に見える星や星座の名前を表示してくれます。初心者でも簡単に星を見つけることができる便利なツールです(既存記事「家族で楽しむ!初心者向け天体観測アプリ活用法」も参考にしてみてください)。
子供と一緒に楽しむアイデア
定番の星や星座を見つけたら、それをきっかけに様々な楽しみ方をしてみましょう。
- 絵や図で記録する: 星空ノートを用意して、見えた星や星座を絵に描いたり、簡単な図で記録したりします。「W」や「柄杓」の形を描くだけでも楽しいです(既存記事「家族でつくる 星空観察ノートのすすめ」も参考にしてみてください)。
- 物語や伝説を調べる: 北極星、カシオペヤ座、おおぐま座(北斗七星)には、それぞれにまつわる物語があります。絵本で読んだり、インターネットで調べたりして、子供に話してあげると、星がより魅力的な存在になります。
- 名前をつけてみる: 見つけた星や星座に、自分たちで面白い名前をつけてみるのも良いでしょう。「お鍋座」や「王冠座」など、子供の自由な発想を大切にしてください。
- 次のステップへ: 定番の星が見つけられるようになったら、それらを基準に他の星座を探したり、双眼鏡や入門用望遠鏡で月のクレーターや木星・土星を見てみたりと、さらに天体観測の世界を広げていくことができます。
まとめ
一年中空に見える定番の星や星座は、天体観測の最初の一歩として、そして家族で気軽に星空に親しむのにぴったりの対象です。北極星、カシオペヤ座、おおぐま座(北斗七星)など、比較的見つけやすい星や星座から観察を始めてみましょう。
これらの定番の星を知ることで、夜空の様子が分かりやすくなり、他の季節の星座や惑星を探す際にも役立ちます。ぜひ、晴れた日の夜には家族で一緒に空を見上げて、身近な定番の星たちを見つけてみてください。夜空はきっと、あなたとご家族にとって、身近で特別な場所になるはずです。