家族で楽しむ火星観察 ~見つけ方とひみつ~
はじめての星空へようこそ。
夜空に目を向けると、たくさんの星が輝いていますね。その中には、星のように見えても実は星ではない天体があります。それが「惑星」です。今回は、特に見つけやすく、子供たちもきっと興味を持つであろう「火星」を家族で観察する方法をご紹介します。
火星ってどんな星?
火星は、太陽の周りを回る惑星の一つで、地球のすぐ外側を公転しています。地球とよく似た環境を持つことから、生命の存在の可能性が昔から探られており、探査機がたくさん送られていることでも知られています。
火星の一番の特徴は、その色です。夜空で見ると、少し赤っぽく光って見えます。これは、火星の地面に酸化鉄(さびと同じ成分)がたくさん含まれているためです。この赤い色のせいで、昔から「火の星」と呼ばれてきました。
大きさは地球の半分くらいで、厚い大気はありません。表面には大きな谷や高い山があり、過去には水が流れていた痕跡も見つかっています。砂嵐が起こることもあります。
いつ、どこで火星が見られる?
火星は、他の惑星と同じように、時期によって見え方や見える時間が大きく変わります。地球と火星はそれぞれ太陽の周りを回っていますが、公転する速さが違うため、地球から見た火星の位置や明るさが常に変化しているためです。
- 見やすい時期: 地球と火星が太陽を挟んで反対側に位置するとき(衝といいます)が、火星が最も地球に近づき、大きく明るく見える時期です。この時期は、火星が一晩中空に見えていることが多いです。衝は約2年2ヶ月ごとに起こります。
- 見つけ方: 火星は明るく、他の星と違って自分で光っているわけではないので、基本的に「またたき」が少ないのが特徴です(大気の状態によってはまたたくこともあります)。空を見上げて、明るく、少し赤っぽい色をした星を探してみてください。見える方角や高さは時期によって変わりますので、事前に天文情報サイトや天文カレンダーで確認すると良いでしょう。
火星は、他の明るい星や惑星と並んで見えたり、月との位置関係が面白い日があったりします。その時期の星図やアプリなどを活用すると、より簡単に見つけられるでしょう。
どうやって火星を見る?
火星を見るのに、特別な道具は必ずしも必要ありません。
- 肉眼: 肉眼でも、明るい赤い星として簡単に見つけることができます。夜空にぽつんと赤く光る星があったら、それは火星かもしれません。
- 双眼鏡: 双眼鏡を使うと、肉眼よりも少し大きく、丸い形をしていることがぼんやりと確認できることがあります。入門用の双眼鏡でも、火星の色や明るさをよりはっきりと感じることができるでしょう。
- 望遠鏡: 小型のものでも望遠鏡を使うと、火星が円盤状に見えるようになります。観測条件が良い時期や、性能が良い望遠鏡を使えば、表面の模様(暗い部分や明るい部分)が見えることもありますが、初心者向けの小型望遠鏡では、赤い丸い形として見ることが多いでしょう。
はじめは肉眼で探すことから始めて、もし双眼鏡があれば使ってみる、というステップがおすすめです。
家族で楽しむ火星観察のヒント
火星観察は、ただ見るだけでなく、家族で様々な楽しみ方ができます。
- 「赤い星探しゲーム」: 空を見上げて、一番赤い星はどれかな?と探してみましょう。火星を見つけたら、みんなで「火星だ!」と声を出すのも楽しいですね。
- 火星の色について話してみる: なぜ火星は赤いの?という疑問は、子供の知的好奇心を刺激します。地面にさびがたくさんあることを教えてあげると、「さびって何?」とさらに疑問が広がるかもしれません。身近なもの(自転車のさびなど)と関連付けて話すと分かりやすいでしょう。
- 火星の絵を描いてみる: 観察した火星の色や形を、家族で一緒に絵に描いてみましょう。図鑑で見た火星の写真と見比べてみるのも面白いです。
- 火星に関するクイズ: 火星にまつわる簡単なクイズを出し合うのも楽しいです。「火星の色は何色?」「火星には探査機がたくさん行っている〇か×か?」など。
- 火星の物語に触れる: 火星はローマ神話の戦いの神マルスにちなんで名付けられました。星にまつわる神話や物語を話して聞かせるのも、夜空への興味を深めるきっかけになります。
火星のちょっとした「ひみつ」
- 「大接近」: 約15〜17年に一度、地球と火星が特に近くに位置することを「大接近」といいます。この時期の火星は非常に大きく明るく見え、望遠鏡でも表面の模様が見やすくなります。次に大きな接近があるのは2035年です。
- たくさんの探査機: 火星には、アメリカのNASAをはじめ、世界各国の探査機が送られています。地面を走る探査車(ローバー)が火星の写真を送ってきたり、地面を掘って調べたりしています。ニュースなどで火星の最新情報を見つけたら、家族で話してみるのも良いでしょう。
安全に火星観察を楽しむために
夜の観測は、安全に十分注意して行いましょう。
- 場所: 周囲の安全が確認できる、開けた場所を選びましょう。交通量の多い道路脇や、足元が見えにくい場所は避けましょう。自宅の庭やベランダでも、空が開けていれば十分に楽しめます。
- 服装: 夜は予想以上に冷え込むことがあります。季節に応じた暖かい服装で臨みましょう。
- 照明: 足元を照らすために、小さな懐中電灯があると便利です。ただし、他の人の観測の邪魔にならないよう、使うときは下向きに照らす、赤いセロファンを貼って眩しさを抑えるなどの配慮をしましょう。
まとめ
火星は、肉眼でも見つけやすい明るさと特徴的な色を持つ、家族でのはじめての惑星観察にぴったりの天体です。赤い色や、地球との関係など、子供たちの「なぜ?」を引き出しやすい魅力もたくさんあります。
ぜひ次の晴れた夜は、家族で一緒に夜空を見上げて、赤い星「火星」を探してみてください。きっと新しい発見と楽しい時間が待っていることでしょう。